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2010,5,01-2010,06,06 福本潮子展 ![]() 茶道具などの様々な取り合わせ、それらとの出会いを楽しむことは、茶席の意義の一つである。福本が手掛ける掛け物や風炉先屏風は勿論、それぞれがそうした組み合わせを彩るものである。しか
し、この作家の目指すところは個々の「道具」や「素材」を提供するにとどまらなかった。染色家・福本潮子が自身の表現として本格的に茶室を意識するようになったのは、およそ20年ほど前のことである。
1989年、「時代を拓く‐新しい茶の造形展」(日本橋三越)の第一回展に風炉先屏風を出品した福本は、展覧会を監修した林屋晴三氏の「もっとも突飛なものを」という言葉に鼓舞され、
また茶室の建築家・中村利則氏を紹介されて、1990年、【天空の茶室】を発表した。中村の助言をもとに天井を想定し、にじり口の位置を工夫した180センチ角の茶室である。淡い藍染めの布に包まれた二
畳程の立方体という空間は、広すぎず狭すぎず人を包み込み、他者と程よい親密な距離を提供する。麻の布地の藍を透かして茶室の内部と外部は常につながっており、決して外の世界を遮断し「隔てる」
のではなく間を柔らかく仕切り、人を「包む」のである。 その後、八木製作所の加工技術を立方体の枠に活かすなど改良を重ねながら、作家は【霞の茶室】(l990年)、【朝霧の茶室】【タ霧の茶室】(いずれも2001年)へと、精度を高め、あるいは染め
のグラデーションを変化させながら自身の茶室を展開してきた。立方体の精度は緊張感を、染めの階調は微かな弛緩をもたらす。その絶妙の均衡が福本の茶室にはある。
しつらいの道具やパーツではなく、茶室という空間そのものを創るという経験は、作家の空間意識を大いに刺激し、能舞台の幔幕など長大な布へも展開を見せてきた。
藍の空間そのものを現出させる‐この度の染・清流館での展示は、福本の茶室、布のしつらいにおける最大規模にして総括的な試みといってもよいだろう。
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