過去の展覧会

PAST EVENT GALLERY 2009

2009,12,01-2009,12,20

染色の領域 vol.3

「将来を期待される新鋭染色作家展」の一環として、「染色の領域」vol.3 「見知」が開催される。「染色の領域」シリーズは2007年11月~12月にVol.1「彷徨俯」が、2008年1月~2月にVol.2 「俯望」が当館で開催された。前2回は、いずれも独自の染色技法に根ざして染色の表現領域を広げようとする、染色界の中核で活躍する作家が作品を発表した。
3回目となる今回は、王同氏・小池沙弥花・鈴木純子 ・中川裕章4名による、染色のオーソドックスな手法を用いて表現を追求する作家と、染色の境界領域で制作活動を行っている作家のコラボレーションとなる。また、大学院での染色教育を修了したばかりの若手作家と、すでに内外の作品展で発表を重ねてキャリアを積んでいる中堅といえる作家が一堂に表現を響きあわせる。
王同氏と小池沙弥花は、ともにろう防染による染色の技法を表現手段として作品制作を行っている。王は、小舟や水車、あるいは静物などモチーフとなる事物を、抽象的に構成された背景の中に配置する、超現実的ともいえる構図によって、光や空気などの感覚をも豊かな色彩で表現しながら、内面の風景を際だたせる。
小池は、日常生活の中で堆積していく何気ない感覚や情報の断片が、自らの内部に視覚化されたイメージとして結ぶ形象を、ろう染作品に昇華させることで、自己の存在と外界との回路を確かめようとしている。
鈴木純子は、仮織りした織物にシルクスクリーンなどで染色し、その緯糸を抜いて糸に戻し、再度織り上げることによって構成する 「ほぐし緋」という手法によって作品制作を行う。遠い過去の写真などを題材にコンピュータで再構成し、織り上げられた作品は、緋によって生じる微妙にずれた輪郭の揺らぎが、無彩色の表現と響きあって、本源的なノスタルジーを喚起する不思議な時間と空間の感覚を醸し出す。
中川裕章は、デニムの生地をミシンで丹念に縫い重ねるという独自の手法によって、下着姿の若い女性の姿態を描き出す。布の重なりと色調の濃淡によって表された図像は、写真のように精密でリアルだ。しかし、そこから感じ取れるのは、生々しいエロティシズムではなく、むしろ現代という時代をモチーフに託して表象化した乾いた叙情である。
4者4様、テキスタイルというメディアによって、それぞれの表現を模索している今回のセッションが、「染色の領域」をより活性化するために、意義あるものになることを期待したい。

佐藤能史 (染織と生活社編集長)

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染・清流館 ~染色専門美術館/京都~ ご利用案内

開館時間、入館料、アクセス、所在地

染・清流館 ~染色専門美術館/京都~ 友の会

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南禅寺にある東郷平八郎が「清流亭」と命名した山荘。

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