過去の展覧会

PAST EVENT GALLERY 2009

2009.03.01-2009.03.22

麻田 脩二展

藍より出でた青
今日、染色美術という日本独自の表現メディアは、当然ながら伝統的工芸的なメインストリームと、現代美術として確立させたいニューストリーム の両局面で展開されている。今回紹介する麻田脩三は、半世紀近い旺盛な制作活動で世界を駆け、染色をコシテンポラリー・アートにブレイクさせた異能 の作家である。麻田が入学した当時の美大染織科は、小合友之助、稲垣稔次郎という蝋染・型染の領袖を擁した輝かしい時代であった。彼は型染の簡素な造形、文様 の様式美、複製性に共感し、稲垣に傾倒していった。お二人の下から育った作家は数多いが、仏陀の掌から抜け出すのは容易でなく、「染色美術の現代化」に意欲を 燃やす麻田の思いは、この時代を「染色のロスト・ジェネレーションにしてはならぬ」ということであったにちがいない。型紙、糊材で布を防染し、植物染料ログウッド 一色で染め上げた初期のプリミティブな作風は、'60年代末期に突如変貌したいへん驚かされた。技法が顔料ステンシル、形態は思い切り削ぎ落とされたが了一口ティック に蠢きだし、まばゆいばかりの色彩が画面から三次元的に飛び出してきた。染色による現代美術への転換である。以後、円・正四面体・二等辺三角形・45度斜線という 単純形態を、対称・反復・直角回転させ、数度のマイナーチェンジはあるが、一貫して観る者にイリュージョナル・スキャンダルを提供してきた。この作画技法こそ 型染文様を字んだ麻田の独壇瘍のであり、ハードエッジな直線に絡まる曲線は、近未来の不安感、都市の寂蓼感にうち震えるぼくたちに生命力の尊さや不思議さを 訴えかける。染色の世界では顔料を格下に見る風潮があるが、顔料で彼のようにフラットな色面を創出するのは至難である。基調を担う黒色ぼとくに難しく、最終段 階で労作を台無しにして泣いたことも多いと年間30作をものにして笑い飛ばす。本展を新たなステップへのスタートだと位置づける柔軟さに「ますます青く」とエール を送りたい。作品に対峙すると、西陣の名門に生まれ育ち、伝統や旧弊に抗ったモダニストの息遣いが聞こえてくる。 清水忠(デザイン・プロデューサー)

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染・清流館 ~染色専門美術館/京都~ ご利用案内

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