過去の展覧会

PAST EVENT GALLERY 2008

2008.12.02-2008.12.21

期待の新鋭作家展 糊と蝋それぞれの表現

染料のにじみを制御すること、すなわち防染することによって染色の表現は成立する。糊と蝋は、その主要な防染材の役割を担ってきた。 糊は、米の文化の日本にあって、小紋、中形、あるいは紅型などの型染、筒描き、友禅、和更紗など、古くから広く染色技法に用いられてきた。 一方、蝋は、正倉院を除けば、日本では、近代以降に用いられるようになるが、堰出し、筆描き、版染、エッチング、亀裂染、撒き蝋、たたきなど、 きわめて多様なテクニックが生み出され、自由で伸びやかな染色表現を可能にしてきた。 今回は、糊染めとろう染めを表現の重要なメディアとする4人の新鋭作家がそれぞれの作品を発表する。 井上由美は透徹した人間観察によって、何気ない行為の中に浮かび上がる人間存在の異なる様相、あるいは日常の中に潜む非日常を、 デフォルメとろう染めの意識的に不明瞭にぼかした表現によって凝視しようとする。 加賀城健は、アクションペインティングにも似たアクロバティックな身体運動による糊置きによって、その行為の痕跡を布面に定着するという、 既成技法にとらわれない、しかも染色でしか表現し得ない独自の制作活動を追及している。 名護朝和は、型染特有の明快な表現によって、沖縄の風土や米軍基地のフェンスなど、沖縄で生まれ生きてきた自己の内面に蓄積された原風景を描き出そうとするが、 そこには沖縄のおかれた現実が否応なく映し出される。 西山裕希子は、物語や神話、あるいはジェンダーを主題に、染色に括り得ない多様な表現を展開しているが、その中で、蝋の堰出し、すなわち両側からせめぎ合う蝋の狭間に 成立する線で人物像を描き出すとう独自の手法によって、自己存在の輪郭を確かめようとしてきた。 新しい時代を切り開いてきたのは常に若者である。ここに選ばれた「新鋭」たちに「期待」されるのは、現在の染色状況に波紋を巻き起こすことだろう。
佐藤 能史(染織と生活社)

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染・清流館 ~染色専門美術館/京都~ ご利用案内

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